都会のオアシスでカワセミを狙う!光が丘の野鳥観察完全ガイド
光が丘 公園 バード サンクチュアリは、超高層ビル群が地平線を埋める大都市・東京において、奇跡のように残された野生の聖域だ。練馬区と板橋区の境に位置する広大な都立公園の一画、約2.4ヘクタールに広がる禁断の森。ここには人間のための遊具もベンチもない。主役はあくまで鳥や昆虫、小動物たちだ。フェンスの向こう側には、人の立ち入りを厳格に制限された広葉樹の森と静閑な池が横たわり、水面を猛スピードで横切る鮮烈なコバルトブルーの影が訪れる者を息をのませる。
木々の隙間から朝の柔らかな木漏れ日がこぼれ、シジュウカラやメジロの高らかなさえずりが葉擦れの音と重なる。平日は鳥たちの平穏を守るため固く閉ざされているが、週末を迎えると光が丘 公園 バード サンクチュアリの観察舎には、熟練の探鳥家から一眼レフを抱えた若者、目を輝かせる親子連れまでが集まる。コンクリートジャングルでの生活に疲れた人々の心を、野性の命の躍動が静かに解きほぐしていく。
週末限定開放の観察舎!訪れる前に知るべき最新利用ガイド

サンクチュアリ内部は自然環境を保護するため原則非公開だが、観察舎(ハイド)だけは一般向けに門戸を開いている。開館日は土曜日、日曜日、祝日のみ。年末年始を除く週末の午前9時から午後4時30分まで、無料で観察ブースから池や森林の様子を一望できる。
観察舎の内部は、外の鳥たちを警戒させないよう照明が落とされ、横長の観察窓(スリット)が並ぶ。備え付けのフィールドスコープ(単眼鏡)が複数台設置されており、手ぶらでふらりと立ち寄った人でも、遠くの止まり木にいる小鳥の羽毛一本一本までクローズアップで鑑賞可能だ。常駐する解説員が「今、左の丸太にアオサギがいますよ」といったリアルタイムの出現状況を教えてくれるため、野鳥観察の経験が浅い人でも迷うことがない。
水辺の宝石カワセミを捉える!決定的な出現ポイントと時間帯

多くの来園者がもっとも熱い視線を注ぐのが、青く美しい羽を持つ「清流の宝石」ことカワセミだ。都会の池では滅多にお目にかかれないと思われがちだが、この場所では高い確率でその姿を捉えられる。
もっとも出現頻度が高いのは、観察舎から見て中央からやや右手に位置する池の張り出し枝や特設の止まり木だ。魚を狙って水面に体を直立させ、狙いを定めて一直線にダイブする。狩りの成功率は驚くほど高く、小さなモツゴやエビを咥えて枝に戻る姿は圧巻の一言に尽きる。狙い目の時間帯は、朝一番の澄んだ空気漂う午前9時台から11時前後、そして夕方の採餌タイミングだ。雨上がりの晴れ間など、水面がクリアになった直後も活動が活発になる。
愛好家必見!観察舎における自然写真撮影のマナーと穴場ルール

貴重な生態を間近で捉えられるスポットゆえ、自然写真撮影を目的に訪れるフォトグラファーも多い。しかし、ここは撮影スタジオではなく野生動物の生活圏だ。利用にあたっては厳密なマナーの遵守が求められる。
観察窓からのフラッシュ撮影は厳禁である。強い光は鳥たちにパニックを引き起こし、営巣を放棄させる危険すらある。また、狭い観察舎内での三脚使用は他の見学者とのトラブルを生みやすいため、混雑時は一脚や手持ち撮影への切り替えが賢明だ。鳥を呼ぶための電子音プレイヤーや餌付け行為は固く禁じられている。シャッター音を抑えるサイレントモードを活用し、静粛を保ちながら決定的なシャッターチャンスを待つのが、一流のバードフォトグラファーとしての流儀だ。
練馬区の森を守る生態系保全と東京都の取り組み
光が丘公園がかつて米軍住宅「グラントハイツ」だった歴史を知る人は多い。返還後の跡地開発において、東京都建設局および公益財団法人東京都公園協会は、単なる都市公園の造成にとどまらず、失われゆく東京本来の武蔵野の原風景を取り戻すべく生態系保全プロジェクトを始動させた。
練馬区という人口密度の高い住宅街にありながら、あえて池の水深を変化させ、ヨシ原を育成し、倒木をそのまま放置して菌類や昆虫の棲み家とする管理手法が採られている。人の手を適切に入れつつ過剰な干渉を排す。この徹底したビオトープ管理が実を結び、現在では絶滅危惧種を含む無数の昆虫や両生類、季節の渡り鳥たちが命をつなぐ中継地として機能している。
日本野鳥の会も注目する四季の顔ぶれとおすすめ持ち物
季節ごとに訪れる顔ぶれがガラリと変わるのも、この保護区の大きな魅力だ。冬にはマガモやコガモ、カルガモなどのカモ類が水面を埋め、春から初夏にかけてはオオタカやツミといった猛禽類の姿が確認されることもある。日本野鳥の会のメンバーもフィールドワークに訪れるほど、渡り鳥の移動ルートにおける重要拠点となっている。
これから訪れるなら、倍率8倍前後の双眼鏡を首から下げていくことをおすすめしたい。10倍以上になると手ブレが生じやすく、森の中の素早い動きを追うのが難しくなる。羽織る衣服は、鳥を刺激しないカーキやブラウン、ダークグリーンなどのアースカラーを選ぶのが鉄則だ。派手な蛍光色のジャケットは鳥たちに警戒心を与えてしまう。
都会のオアシスで五感を研ぎ澄ます休日の過ごし方
観察舎を出た後も、光が丘公園の豊かな自然は続く。どこまでも続くイチョウ並木や、広大な芝生広場をゆっくり散策しながら、木々の間を飛び交うエナガやコゲラのドラミングの音に耳を澄ませてみるのもいい。
スマートフォンをポケット深くにしまい込み、肉眼とレンズを通して生命の気配を探る時間は、デジタル社会で疲労した脳を劇的に回復させてくれる。週末のわずか数時間、練馬の森の奥深くに隠された野鳥たちの隠れ家へ足を伸ばしてみてはいかがだろうか。そこには、日常を一瞬で忘れさせてくれる鮮やかな色彩と、生命のリアルなドラマが待っている。 (出典: 光が丘 公園 バード サンクチュアリ(Yahoo!ニュース))