能登・珠洲の奇跡「二三味珈琲カフェ」の現在地と伝説の極上一杯
二 三 味 珈琲 カフェの木製ドアを押し開けると、深煎り豆特有の香ばしさと潮風の匂いがふわりと交錯する。本州の最果てとも呼ばれる石川県珠洲市。金沢市内から車を走らせることおよそ二時間半、決してアクセスが良いとは言えないこの地に、全国の珈琲愛好家が引きも切らず訪れる。静けさに包まれた港町の片隅で、芳醇な湯気を立ち上らせる一杯のカップ。それは、単なる過疎地の繁盛店という言葉では到底片付けられない熱狂を孕んでいる。
日本中のロースターやカフェマニアが遠路はるばる足を運ぶのは、他ならぬ二 三 味 珈琲 カフェが届ける珠玉の香味と、そこに刻まれた揺るぎない物語に心を奪われているからに違いない。荒波が打ち寄せる能登の自然と、実直な手仕事。静寂の中に響く豆を挽く音とドリップの滴りは、訪れる者の心を瞬時に解きほぐしていく。
能登・珠洲の奇跡「二三味珈琲 カフェ」の現在地と歩み

能登半島の先端に位置する石川県珠洲市飯田町。かつての船具店を改装したという木造店舗は、古い港町の景観に溶け込むように佇んでいる。吹き抜けの高い天井と素朴な木のぬくもり。カウンター越しに職人が一杯ずつ丁寧にネルドリップやペーパードリップで淹れる所作は、まるで静謐な儀式のようだ。
さまざまな試練や時代の移り変わりを乗り越えながら、この場所は能登の日常と誇りを支える拠点として息づいている。訪れる旅人を温かく迎え入れるカウンター席には、地元のお年寄りから遠方から駆けつけたバックパッカーまでが肩を並べる。最果ての地にありながら、ここには常に確かな熱気と安らぎが共存しているのだ。
映画『さいはてにて』のモデルとなった女性焙煎士・二三味葉子の原点

この店を語る上で欠かせない存在が、焙煎士の二三味葉子氏だ。東京の名店で修業を積んだ後、生まれ故郷である珠洲へと戻り、かつて誰も見向きもしなかった海辺の小屋で小さな焙煎機を回し始めた。その直向きな生き様は大きな注目を集め、東映配給のヒューマンドラマ映画『さいはてにて-やさしい香りと待ちながら』のモデルとなった。
女優の永作博美氏が主演を務め、能登の美しい景観と珈琲に宿る人の温もりを描いた同作は、現在もAmazon Prime Videoなどの配信プラットフォームで多くの映画ファンに親しまれている。スクリーン越しに伝わる珈琲への情熱は虚構ではなく、二三味氏が日々ハンドピックで欠点豆を一粒ずつ取り除き、釜の火力を睨みながら豆を煎り続けるリアルな日常そのものだ。
スペシャルティコーヒー業界を驚かせた妥協なき自家焙煎の神髄

二三味珈琲が全国区の知名度を得た最大の理由は、言わずもがなその圧倒的なクオリティにある。スペシャルティコーヒー業界が浅煎りのフルーティーな酸味へとトレンドを傾倒させるなかでも、二三味氏が手がける自家焙煎珈琲は、豆本来の甘みと深煎りのコクを最大限に引き出すクラシカルかつ洗練されたアプローチを貫く。
雑味が一切ないクリアな後味。冷めてもなお崩れないボディの厚み。飲食・カフェ業界のプロフェッショナルたちが「何杯でも飲める魔法の深煎り」と舌を巻くブレンドは、徹底した選豆と絶妙な火入れの賜物だ。看板ブレンドである「二三味ブレンド」をはじめ、産地ごとの個性を際立たせたシングルオリジンまで、その一滴一滴に職人の矜持が宿る。
食べログでも高評価を誇る珠洲カフェの空間美と限定メニュー
大手グルメレビューサイトの食べログでも、全国のカフェ部門において屈指のスコアを叩き出し続けている。石川県珠洲市という地理的ハードルをものともせず、高評価が積み重なる理由は、珈琲の味だけでなく空間とサイドメニューの秀逸さにある。
店内では、自家製スイーツやスコーン、軽食も提供されており、深煎りの珈琲と驚くほど見事なペアリングを見せる。窓から差し込む能登の柔らかな光を浴びながら、厚手のマグカップに注がれた珈琲を口に運ぶひとときは、わざわざ長旅をして訪れた者だけに許された格別の報酬と言えるだろう。
最新の営業状況と入手困難な焙煎豆の取り寄せ・購入ルート
現在、カフェの営業状況は現地の状況に合わせて柔軟に運営されており、訪問前には最新の営業日や営業時間の確認が欠かせない。週末や祝日には開店前から列ができることも珍しくないため、時間に余裕を持ったスケジュールを組むのが賢明だ。
「遠方でどうしても能登まで足を運べない」という珈琲ファンには、公式の通信販売ルートや全国の特約取扱店での購入という選択肢がある。焙煎したての新鮮な豆が丁寧にパッキングされて届けられる通販は、注文が殺到すると一時的に発送待ちになるほどの人気ぶりだ。季節限定のブレンドや特別なロットはすぐに売り切れてしまうため、定期的なラインナップのチェックをおすすめしたい。
さいはての地から全国へ届く温もりとこれからの展望
能登の海風に鍛えられ、一杯の珈琲に向き合い続ける小さなカフェ。そこにあるのは、効率やスピードを追い求める現代社会とは一線を画した、どこまでも純粋なクラフトマンシップだ。最果ての焙煎小屋から立ち上った煙は、いまや海を越え、日本中の珈琲好きの心を温め続けている。
一杯の珈琲が、人と人を繋ぎ、傷ついた地域を照らす光になる。珠洲の海を眺めながら味わうその芳醇なコクは、これからも変わることなく、訪れるすべての旅人をやさしく包み込んでいくはずだ。 (出典: 二 三 味 珈琲 カフェ(Yahoo!ニュース))