ヒロアカ屈指の怪盗コンプレス!血統の真実と素顔に宿る反骨心
ヒロアカ コン プレスという特異なヴィランが放った強烈な美学は、激動の物語が幕を閉じた今なお、ファンの熱狂的な議論を呼び続けている。シルクハットにトレンチコート、そして感情を覆い隠す仮面。トランプを弄び、軽妙な口調で戦場を舞台へと変貌させた奇術師は、単なる脇役の枠組みを鮮やかに飛び越え、シリーズ屈指のドラマを生み出した。
群像劇として名高い本作において、ヒロアカ コン プレスが演じ切った引き際の美しさは類を見ない。狂気と暴力が渦巻く社会の歪みの中で、彼が掲げた「世直し」のエンターテインメントとは何だったのか。仮面の裏側に隠されていた出自の謎から、散り際に見せた壮絶な覚悟まで、その全貌をひもといていく。
稀代の怪盗「張間欧児」の血筋――Mr.コンプレスこと迫圧紘の正体

仮面の下に隠されていた本名は「迫圧紘(さこ あつひろ)」。彼が身に宿していたのは、裏社会の歴史に刻まれた伝説の大怪盗・張間欧児(はりま おうじ)の玄孫(ひまご)という衝撃的な血統だった。張間欧児といえば、オールフォーワンやデストロと並び称され、かつて富裕層から奪った金品を大衆へばら撒いた義賊的なカリスマ悪党だ。
彼がヴィランとして活動していた根底には、曽祖父から受け継いだ「偽善に塗れた社会へのアンチテーゼ」と「大衆を揺さぶるショーマンシップ」が流れていた。自身を単なる破壊者ではなく「世直し」を志す表現者と位置づけていたコンプレス。その矜持こそが、他のヴィランとは決定的に異なる洗練された立ち振る舞いを生み出していたと言える。
己の肉体を削り仲間を逃した「全面戦争編」の壮絶な幕引きと素顔

彼が真の主人公として輝いた瞬間、それは全面戦争編の終盤における脱出劇だ。ヒーロー側の圧倒的な包囲網により、死柄木たち仲間が全滅の危機に瀕した極限状態。そこでコンプレスは、自らの個性「圧縮」を自らの臀部や身体に直接行使し、肉体を削り取るという狂気じみた奇策に打って出た。
仮面を脱ぎ捨てて素顔を晒し、血塗れになりながら繰り広げた最後のイリュージョン。かつて敵連合の仲間たちと語り合った未来を繋ぐため、己の命と舞台を差し出した。あの瞬間、彼の素顔に宿っていたのは道化の笑みではなく、仲間への義理と覚悟に満ちた生身の人間の表情だった。
死柄木弔率いる敵連合から超常解放戦線へ――道化を演じ続けた美学
死柄木弔率いる「敵連合」の旗揚げから、異能解放軍との合流を経て成立した「超常解放戦線」に至るまで、コンプレスは常に参謀兼コメディリリーフとしてのポジションを崩さなかった。個性の強い狂人たちが集う組織において、彼のようなバランサーの存在は不可欠だった。
オーバーホールに片腕を奪われる凄惨な憂き目に遭いながらも、彼は復讐心に溺れることなく、義手を携えて軽やかに舞台へ復帰した。どれほど状況が絶望的であっても、観客(敵と味方)を魅了するステップを踏み続ける。その徹底したパフォーマー気質は、死柄木という怪物の成長を最も特等席で見届けた観客としての生き様でもあった。
声優・最上嗣生が吹き込んだ圧倒的な華と劇場型トリックスターの矜持
キャラクターの魅力を何倍にも引き上げた立役者として、声優の最上嗣生による名演を外すことはできない。渋さと艶を併せ持つ低音ボイス、そして舞台役者を思わせる抑揚の効いた台詞回しは、コンプレスの劇場型キャラクターに圧倒的な説得力を与えた。
緊迫した戦闘シーンであっても、最上嗣生が吹き込む声にはどこか洒脱な余裕が漂う。だからこそ、全面戦争編で仮面を外し、激情を爆発させたクライマックスの叫びがファンの胸を激しく揺さぶった。静と動、気品と狂気。その二面性を見事に成立させた職人技の芝居は、アニメ史に残る名演のひとつだ。
堀越耕平が描くスーパーヒーロー・ダークファンタジーにおける異質の存在感
原作者の堀越耕平が紡ぎ出した『僕のヒーローアカデミア』は、光と影の相克をリアルに抉り出すスーパーヒーロー・ダークファンタジーの傑作だ。本作に登場するヴィランたちの多くは、社会の不条理に押し潰された被害者としての側面を強く帯びている。
その中にあって、歴史の因果と自身の芸道を重ね合わせ、誇り高く散っていったコンプレスの描かれ方は極めて異質であり、鮮烈だった。血統という呪縛を逆手に取り、自分の人生そのものを最高の舞台劇へと昇華させた生き様。堀越耕平の卓越したキャラクター造形美が、この怪盗紳士に凝縮されている。
アニメーション産業を牽引するボンズの映像美と配信サービスでの再評価
株式会社集英社が送り出した原作の熱量を、株式会社ボンズが見事なクオリティで映像化した『僕のヒーローアカデミア(アニメ)』シリーズ。劇場版最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』の世界的ヒットも含め、いまや現代のアニメーション産業を代表する金字塔となっている。
物語が完結を迎えた現在、NetflixやU-NEXTといった主要ストリーミングサービスでは、コンプレスが暗躍した神回を改めて見返すファンが後を絶たない。一連の伏線を踏まえた上で初期のエピソードを再視聴すると、彼の些細な仕草や言葉選びのすべてに計算された伏線が張り巡らされていたことに気づかされる。色褪せることのない奇術師の物語は、画面の向こうで今もなお、新たな観客を魅了し続けている。 (出典: ヒロアカ コン プレス(Yahoo!ニュース))