「例のプール」がついに消える?新宿の雑居ビル解体報道と、ネット遺産をめぐるメタバース保存計画の全貌
例 の プールとして世界的に知られる新宿のレンタルスタジオ「Hanazono Room」が、ビルの老朽化に伴う再開発計画により、2026年末をもって閉鎖される見通しとなった。このニュースは、日本のインターネットコミュニティだけでなく、海外のサブカルチャーファンにも大きな衝撃を与えている。単なる撮影スタジオの枠を超え、ネット文化のアイコンとして君臨し続けた場所が、物理的な消滅の危機に瀕している。
多くの人々にとって見覚えのあるあの長方形の水槽と黄色い壁は、SNSの普及とともにミーム化し、いつしか例 の プールという奇妙な愛称で定着した。今回の解体報道を受け、有志による3Dスキャン保存プロジェクトや、メタバース上での完全再現計画が急速に立ち上がっている。
昭和から令和を駆け抜けた「あの水槽」の歴史

このプールは、東京都新宿区にあるマンションの最上階に位置する。元々は個人所有の豪華なプール付きマンションとして建てられたが、後にレンタルスタジオとして一般に開放された。1990年代後半から2000年代にかけて、多くの映像作品のロケ地として使用されたことが、その知名度の起点となっている。
特に、日本の成人向けビデオ(AV)業界において頻繁に登場したことから、ネットユーザーの間で「見覚えのあるプール」として認知されるようになった。その後、アニメやバラエティ番組、音楽PVなどにもパロディとして登場し、その存在は完全に一般化していった。
なぜこれほど愛されたのか?ネットミームとしての特異性

この場所が特別なのは、誰もが知っているのに、公の場で大っぴらに語るのが少し憚られるという「文脈の共有」があったからだ。ネット掲示板やSNSでは、プールの画像一枚で会話が成立するほどの記号性を獲得した。説明不要で共通のイメージを喚起させる力、それこそがこの空間の持つ最大の魔力だったと言える。
さらに、その独特な構造も魅力を引き立てていた。室内でありながら天窓から光が差し込み、水槽の側面がガラス張りになっているデザインは、撮影において非常に機能的だった。視覚的なわかりやすさと、アングラな背景が絶妙にブレンドされた結果、唯一無二のポップアイコンが誕生したのだ。
2026年の都市開発が迫る、新宿のスタジオ解体危機

しかし、時代の波には抗えない。2026年現在、東京は空前の再開発ラッシュの渦中にある。特に耐震基準を満たさない昭和後期から平成初期のビルは、次々と建て替えの対象となっている。Hanazono Roomが入るビルも例外ではなく、維持管理コストの高騰と老朽化が限界に達したため、今回の決断に至ったという。
関係者によると、スタジオの運営会社は存続の道を模索したものの、建物の構造上の問題から部分的な補強や移設は不可能と判断された。物理的な空間としての寿命が、刻一刻と近づいているのが現状だ。
デジタルツインで残す:メタバース空間への完全移植プロジェクト
物理的な消滅を前に、デジタル技術を用いた保存の動きが加速している。国内の3Dデータ制作会社や有志のクリエイター集団が共同で、スタジオ内部の超高精細3Dスキャンを開始した。光の反射やタイルの質感まで再現した「デジタルツイン」を作成し、メタバース空間に移植する計画だ。
これにより、ユーザーはVRゴーグルを装着することで、いつでもあのプールサイドに立つことができるようになる。アバター同士が集まるイベントスペースや、バーチャル撮影スタジオとしての活用が期待されており、ネットの遺産は形を変えて生き残り続けることになる。
聖地巡礼の終着点と、ファンが語る「場所」の記憶
解体のニュースが流れて以来、スタジオには予約が殺到している。普段はコスプレイヤーやアマチュアカメラマンの撮影会で埋まる週末だが、現在は「最後に一目見ておきたい」という一般のファンによる見学ツアーも企画されている。訪れた人々は、それぞれが画面越しに見てきた青春や、ネットの歴史に思いを馳せている。
「ただのプールなのに、ここに来ると不思議な実在感がある」と、ある常連のカメラマンは語る。画面の中の架空の場所のようでありながら、確かに新宿の片隅に存在していたという事実。そのギャップこそが、多くの人々を惹きつけてやまない理由なのだろう。
サブカルチャーの象徴をどう保存すべきかという問い
今回の件は、形を持たないインターネット文化やサブカルチャーの「聖地」を、後世にどう残していくべきかという新たな課題を突きつけている。歴史的建造物のような公的な保護を受けにくい民間スタジオが、ネットコミュニティの力によってデジタルアーカイブ化される前例となるかもしれない。
物理的な壁や水槽は取り壊されても、人々の記憶とデジタル空間の中に、あの独特な青い水面は残り続ける。2026年、私たちは一つのネット神話の終焉と、新たなデジタル転生を目撃しているのだ。 (出典: 例 の プール(Yahoo!ニュース))